フィリピンでの公式行事に「山形の味」 市場開拓に向け県産食材PRへ
フィリピンの日本大使館で29日に開催される天皇陛下の生誕レセプションで、県産食材を用いた料理が振る舞われることになった。東北の復興支援として大使館側の要請を受けて実現。県などは本年度、フィリピン市場の開拓に向けた県産農産物のプロモーションを初めて行うことから、公式の場で“山形の味”をPRすることで輸出戦略に弾みをつける考えだ。
県産農産物の輸出拡大を目指し、県などはアジア各地でプロモーションを展開している。本年度は5カ国・地域が対象。新規市場のフィリピンでは、12月にマニラの高級百貨店で朝日町産のリンゴとラ・フランスをテスト販売し、市場ニーズを確認する。
県貿易コーディネーターの漆原意(もと)氏によると、フィリピンで日本産の農産物はほとんど流通していないものの、華僑を中心とした富裕層が多く「消費力は想像以上。県産品が入り込む余地は十分にある」という。
プロモーションに向け、県経済国際化推進協議会が現地調査を行った際、日本貿易振興機構(ジェトロ)マニラ事務所を通じて現地の日本大使館と情報交換。その際、東日本大震災の復興支援として東北の食材をレセプションに用いる構想があり、県などが事業公募に応じ採択された。
食材として、期待の県産米「つや姫」の他、山形牛や豚肉、リンゴ、ラ・フランス、野菜類など地元産の多彩な農畜産物を用意。串焼きやとんかつ、芋煮も振る舞い、山形の味覚を紹介する予定。県産果実を用いたゼリーなど加工食品も並ぶという。現地にはジェトロの協力を得て、観光・旅館関係者を派遣する方針。
レセプションには毎年、現地の政界や経済界などから200人ほどが出席するという。漆原氏は「日本の農産物が浸透していない中、山形産をPRする絶好の機会」とし「質の高さを知ってもらうことで、今後のステップアップにもつながるはず」と話している。
2011年11月16日 山形新聞