デビュー3年目「つや姫」勢力急拡大、西日本でも高評価
山形県がブランド化を進めている県産米「つや姫」の作付面積が2012年、大幅に増加する。県内では前年の倍以上に増える見通しで、隣の宮城県は4倍以上に増加。大分、島根両県など西日本からの評価も高まっており、栽培地域が徐々に広がっている。
◎お膝元は2倍
山形県はことし、県全体で6500ヘクタールの作付けを予定。11年の3197ヘクタールからほぼ2倍になる。生産者を一定規模以上の農家や、低農薬・低化学肥料での特別栽培ができる農家に限定する生産者認定制度を継続し、品質保持を図る。
つや姫は10年に本格的に市場販売が始まり、12年がデビュー3年目。県は全国的な知名度浸透とブランド確立を目指し、県内の料亭や旅館での試食会、関西地区でのテレビCM放映などのPRを予定する。
一方、宮城県はことし、栗原市を中心に昨年の4倍以上に当たる約1500ヘクタールの作付けを予定。県の栽培量の約8割を占める主力品種「ひとめぼれ」からの分散化を図り、収穫期の作業効率を高める狙いがある。
西日本でも作付け地域が拡大している。つや姫は東北地方では晩生(おくて)品種だが、西日本では早生(わせ)品種。温暖化の影響で、つや姫と同じ収穫時期のコシヒカリの品質低下に悩む地域が増えており、高温障害に強いつや姫を代替品種に位置付ける県が増えている。
◎各県から指定
昨年12月に長崎県、ことし1月には島根県がつや姫を県の奨励品種に指定。ことしはそれぞれ120ヘクタール、300ヘクタールを作付けする。10年に奨励品種に指定した大分県も、昨年の100ヘクタールから500ヘクタールに増やす予定だ。
島根県では将来的に、コメの総作付面積の2割に当たる3700ヘクタールまでの拡大を想定。「暑さにも強く、適合性がある。食味や色の白さといった品質もコシヒカリより良い」(農畜産振興課)と期待を寄せている。
長崎県農産園芸課も「コシヒカリより丈が短いので倒伏しづらく、台風が多い長崎でも育てやすい」と高評価。大分県集落水田対策課は「地域適応性が高い品種。今後広い地域で、他の品種からガラッと置き換わることもあり得る」と太鼓判を押す。
山形県県産米ブランド推進課の結城和博課長補佐は「晩生品種なので、県内では最大でも2万ヘクタールまでしか作付けできず、ブランド確立のためには物量が足りない。知名度向上のためにも他県で作付けが広がるのはプラスだ」と話している。
2012年03月25日 河北新報