つや姫人気拡大試験栽培32府県
初のサミットに23道府県200人
もうすぐデビュー2年目の秋を迎える県産米「つや姫」に県外からの注目が高まっている。大分、宮城両県では、既に作付けを開始しているほか、現在、試験栽培に取り組んでいる地域は32府県に上り、今年度中に、奨励品種への指定を目指す県もある。山形市内では25日、「全国つや姫サミット」が初めて開催され、23道府県から県職員やJA関係者ら約200人が集まった。
今年2月に認定品種に指定した大分県では、200ヘクタールの作付けを予定していたが、100ヘクタールにとどまった。品質が高い米が育つ中山間地域に生産地を限定した上、山形県と同じ生産者認定制度を導入したためだ。JAを通じた一元的な集荷、販売を行う予定で、大分県農林水産部の小山裕司さんは、「トップブランド米として扱い、高価格で販売したい」と意欲を見せる。
宮城県でも、30アール以上の作付面積の農家に生産を限定。販売は山形県内のJAと連携して価格を設定し、市場評価を高めたい考えだ。今年の作付面積は約335ヘクタール、2015年には約3000ヘクタールを見込んでいる。
両県とも、「つや姫」を特別栽培米として育て、品質管理を徹底。山形県がブランド維持のため、種もみの生産を許可する際に条件として提示しているためだ。
それでも、県県産米ブランド推進課の武田一夫課長は、「生産地が増え、生産量が増えると、目が届かない分、品質の維持は難しくなる。価格の動向も注視する必要がある」と、課題を説明する。
同課によると、現在、32府県で試験栽培が行われ、複数の県が今年度中に奨励品種に指定する意向を示している。
島根県では、10年度から試験栽培を始め、3年計画で奨励品種にするか決める予定だったが、1年早めて今年度中に決定することにした。夏の高温で主力品種「コシヒカリ」の品質低下が目立ち、生産者団体から「『つや姫』を奨励品種に早く決めてほしい」と要請されていたためだ。
一方、長崎県は、試験栽培3年目。すでに今年度産の収穫を終え、担当者は、「今年の結果次第で、奨励品種として指定したい」と前向きに答えた。
この日の会議では、冒頭で吉村知事が、「ブランド定着のため『つや姫』の全国拡大を推進する」と宣言。山形、大分、宮城3県が栽培状況を報告した。今後、増加が予想される産地間での競争や連携についても議論された。
参加した熊本県主要農作物改良協会の坂野裕文事務局長は、「熊本でも高温に強い米を開発したが、食味は今ひとつ。新しい米を開発するまでの期間に、『つや姫』を採用する可能性もある」と話していた。
(2011年8月26日 読売新聞)