コメの放射性物質検査 「つや姫も」対象に
コメの放射性物質検査について、県は8日、収穫前の「予備調査」を平成の大合併前の各市町村44地点で実施したうえ、収穫後の「本調査」を昭和の大合併前の各市町村235地点で行うと発表した。国は早生(わ・せ)と中生(なか・て)の品種を検査対象にする方針を示しているが、県は晩生(おく・て)品種の「つや姫」と「コシヒカリ」についても収穫後の調査を実施する。
農林水産省は、山形を含む17都県にコメの放射性物質検査を求めている。県内35市町村はいずれも土壌の放射性セシウム濃度や空間放射線量が国の基準値以下で、予備調査は義務づけられていないが、県の判断で実施を決めた。8月下旬以降、「あきたこまち」などの早生品種と「はえぬき」などの中生品種を対象に44地点で調査する。
9月中旬以降の両品種の本調査は235地点で行うが、予備調査でセシウム濃度が玄米1キロあたり200ベクレルを超えた場合は、細分化して15ヘクタールごとに調べる。
また9月末~10月上旬に収穫されるつや姫は44地点で、コシヒカリは希望する市町村で、それぞれ収穫後に調査する方針だ。
本調査でセシウム濃度が500ベクレルを超えた場合は、235地点ごとにコメを出荷停止にする。
吉村美栄子知事は同日の定例記者会見で「コメの主産地としての役割を果たしていくためにも、放射性物質調査を的確に実施していきたい」と述べた。
一方、つや姫を栽培している山形市の斎藤広志さん(55)はコメの検査について「今年は大事な2年目。品種ごと、地区ごとにきめ細かく調査し、安全性を確かめてほしい」と話す。
昨年産の売れ行きが好調だったため、今年は作付面積を倍の約2.3ヘクタールに増やした。昨年ほどの猛暑でもなく生育は順調だ。だが低農薬で育てる特別栽培米のつや姫は、放射性物質を吸収しやすいのではないかという不安が農家の間で出ているという。「出ないことを祈るしかない。安全な場合は、早く安全宣言を出してほしい」と消費者の反応を案じながら語った。
2011年08月09日 asahi.comより