「つや姫」本格栽培 県産米、新ブランドへ

大分県は本年度、県産米の新ブランド確立を目指して極(ごく)わせ品種「つや姫」の本格的な産地化に取り組む。夏場の高温に強い上、県内で主力となっているヒノヒカリより田植えや収穫が早く、作業時期を分散できる利点がある。食味にも優れ、需要が望めることから生産拡大を進める。
 つや姫は山形県が育成した新品種で、2008年に同県が奨励品種として採用した。大分県はヒノヒカリの作付けが水稲全体の約8割を占めており、一極集中を解消する品種導入が課題となっていた。09~10年に宇佐市内で試験栽培をし、好結果を得たことから本格的な導入に踏み切った。
 主な特長は(1)ヒノヒカリより出穂期が約10日、成熟期が約14日早い(2)高温条件下でも品質低下が少ない(3)米粒の外観につやがあり、食味評価も人気品種のヒノヒカリやコシヒカリと同等に高い―など。
 近年、県内でも温暖化の影響で高温傾向が顕著なため、米の白未熟粒が発生しやすく、品質低下を招く要因になっている。高温に強い品種としては08年に導入した「にこまる」があるが、ヒノヒカリと栽培時期がほぼ同じで、農作業が重なってしまう。わせ系の「ひとめぼれ」と比べて、つや姫は稲の丈が短く倒伏しにくい長所があるという。
 わせでは県が独自に開発し、04年に出願登録した「おおいた11(イレブン)」が普及しなかった反省もあり、成熟期がさらに早いつや姫に期待が掛かる。大分県はブランド化に向けて生産者認定制度をつくり、全て減農薬・減化学肥料の特別栽培米とする。
 本年産は宇佐市を中心に杵築、由布市などで作付けし、面積計100ヘクタール、収穫量480トンを見込む。県農林水産部は「高品質化に取り組み、つや姫を米のトップブランドにしたい」と意気込む。
大分合同新聞より 2011年06月09日