11年県産米は高値傾向 需要増やブランド戦略が要因
県内で2011年産米の流通が本格化する中、小売価格は昨年同時期に比べて高値で推移している。JA系統出荷の場合、デビュー2年目の「つや姫」は昨年に比べて5キロ当たり300~400円高い店頭価格が目立ち、「はえぬき」など多くの新米が値上がり傾向にある。JA全農山形は県産米の安全宣言を追い風に販売促進につなげたいとしている。
10年産つや姫の県内小売価格は、5キロ2180円が主流だった。11年産つや姫は8日に県内販売が始まったが、県内量販店の価格設定は、これより300~400円高い5キロ2480円か2580円が多い。
一方、県産主力品種「はえぬき」は、特売で5キロ1700円前後で売る量販店もあるものの、総じて昨年より高値だという。
価格上昇の要因は、東日本大震災後の品薄感などで11年産米の需要が高まり、卸業者からの引き合いが強くなったためとみられる。JA全農山形は卸業者との間で結ぶ相対取引価格で「つや姫」を60キロ当たり1万8000円(10年産終値1万6000円)、「はえぬき」を1万4500円(同1万2000円)などに設定。「つや姫」が販売価格で目標にする新潟産コシヒカリ(一般)の相対取引価格は1万7500円で、「つや姫」が500円上回っている。
小売価格に連動する相対取引価格の引き上げについて、JA全農山形は「昨年と比べて需給環境が大きく違う」と説明。「つや姫」に関しては「新潟産コシヒカリ以上を掲げる県を挙げたブランド戦略に沿って価格を上げた」と話す。
都内の百貨店などで「つや姫」を取り扱う米穀専門店は、5キロ3150円で販売。前年同期比で500円近く値上げし、新潟産コシヒカリ(一般)より100円ほど高くしたという。都内の大手卸業者は「この価格設定で売れるかどうか、消費者の反応を見る必要がある」としている
2011/10/14 山形新聞